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カーテンについて

 「窓に取り付けるもの」といって真っ先に思い浮かぶのがカーテンだと思います。まさにカーテンはウィンドウトリートメントの代表と言えるでしょう。  さて、一見単純そうに見えるカーテンも実はなかなか奥深いものがあります。
 それではカーテンについて、いろいろな角度から検証してみましょう

1.カーテンの種類

■既製カーテン

 既製カーテンとは、一定の規格でつくられたカーテンのことです。
 サイズや色・柄などは限定されてしまいますが、比較的安価なのが魅力です。
 お店によっては、自宅の窓寸法に合わせて丈や幅を直してもらえます。これをEO(イージーオーダーカーテン)と呼んで、既製カーテンと区別する場合もあります。

■オーダーカーテン

 日本の住宅は一戸建てでもマンションでも、ほとんどの住宅ごとに窓寸法は異なります。
 そうした窓ごとに、幅、丈ともピッタリと合わせてつくれるのがオーダーカーテンです。
 色・柄やスタイルなどバリエーションが非常に豊富なのも大きな魅力です。

2.カーテン地の種類

 カーテン地の種類とは、実際にカーテンに使われる生地の種類のことです。
 一般的には生地の構造によって、以下の4種類に分類されます。

■ドレープ

 重厚感のある厚手のカーテン地をドレープといいます。
高い密度で織られているため装飾性が非常に高く、また、遮光性、遮蔽性、防音性、断熱性などさまざまな機能を備えているのが特徴です。
柄のものと無地のものがあります。

■プリント

 比較的フラットに仕上げた無地の生地に、柄をあとからプリントしたものです。織りで柄を出すドレープと違い、自由な表現が可能です。非常にファッショナブルなカーテン地といえます。

■レース

 透明感のある薄手のカーテン地です。もっと厳密に分類すると、編み機を使って編んだ生地を「レース」、織り機を使って織った生地を「ボイル」といいますが、一般的にはこれらの薄手のカーテン生地を総称してレースと呼んでいます。
 多くはドレープやプリントとの二重吊りで使われますが、高級レースは主役としても窓辺を演出します。

■ケースメント

 ドレープとレースの中間的なカーテン地です。一見するとレースに思えますが、レースよりも素材的にバラエティに富んでいて、レース的な軽快さの中にもドレープのようなボリューム感を併せ持っています。
単品としても使えますし、ドレープとの二重吊りにも使えます。

3.カーテンの素材

 カーテンに使用される素材(繊維)は、洗濯などで伸び縮みするか、長期間の使用に耐えられるかといった基本的な条件に加え、装飾性の高さ、遮光性、防音・遮音性、保温・断熱性などさまざまな要素を考慮して選ばれます。
 現在は、化学繊維である「ポリエステル」、「アクリル」、再生繊維の「レーヨン」、自然素材の「綿」という4素材が主流となっています。

■ポリエステル(化学繊維)

 カーテン繊維の主流といえるのが、このポリエステル繊維です。丈夫で扱いやすく、また、光沢感があり手触りもよく、ドレープ性(やわらかく波打つ感じ)にも優れています。機能的には最も優れた素材といえるでしょう。
 一方、帯電しやすいので汚れやすくなることと、若干コスト高になるのが欠点といえます。

■アクリル(化学繊維)

 ポリエステル繊維と並んでカーテンの代表的繊維といえるのがアクリル繊維です。非常に軽量で保温性が抜群であることと、帯電性が小さく吸水性も少ないために汚れが付きにくいという特色があります。
 問題点は、やや毛羽立ちするためドレープ性が悪くなることと、熱に弱く燃えやすいことです。ただ、燃えやすさに関しては、難燃加工したものもあります。

■レーヨン(再生繊維)

 さらっとした手触り感があり、吸湿性、染色性に優れています。他繊維となじみやすいことから、混紡・交織として使用されることが多くなっています。問題点は、耐久性が低いことと、水に弱く縮みやすいことです。

■綿(自然素材)

 綿は繊維全体として捉えると、最も生産量が多い繊維です。丈夫で安価、染色性も良く、きれいな色・柄を楽しむことができます。しかし、太陽の日差しに弱く変色しやすいことと、洗濯で縮んでしまうという欠点があります。
最近流行のナチュラル志向から、オーガニックコットン(有機栽培の綿)を素材としたカーテンも販売されていますが、大変伸縮しやすくなっていますので、その辺をしっかり理解した上で選ばれたほうがいいでしょう。

4.機能カーテンについて

カーテンの魅力は何と言っても装飾性ですが、日常生活をより快適に営んでいくためには、装飾性の他にもさまざまな機能が求められることになります。その代表的なものが「ウォッシャブル」「遮光」「防炎」です。このような機能を付加したカーテンのことを機能カーテンと呼んでいます。
ただし、どんな生地でもその機能が付加できるというわけではないので、装飾性を重視するか機能性を重視するかという選択になる場合もあります。

■遮光カーテン

遮光マーク  外部の光を遮り、部屋の光を外に漏らさないようなカーテンです。遮光性を高めるためには、黒糸を織り込んだり、生地の裏面にラミネート加工するなどしてカーテン地自体に遮光性を持たせる方法と、普通のカーテン地に遮光性の高い裏地(遮光裏地)を縫い付ける方法があります。また、遮光性を持つ薄手のカーテンを共吊するという方法もあります。
寝室に採用するケースが多いようです。
※遮光カーテンには等級があります。

「カーテンの遮光性能試験方法」(JIS L 1055)A法(照度計を用いる方法)
等級 遮光率 照度(単位:ルクス) 照度に関する参考表現
遮光1級 99.99%以上 0~10 顔の表情が識別できない
遮光2級 99.99%~99.80% 10~200 顔の表情がわかるレベル
遮光3級 99.80%~99.40% 200~600 事務作業が暗いレベル

遮光1級新基準「NIF法」(特許 第5437308号) 「遮光カーテンの遮光評価方法」目視により遮光性能を評価する方法

遮光基準の図表 

■防炎カーテン

防炎マーク  タバコの不始末などが原因でカーテンに火がついてしまった、というケースも考えられなくはありません。カーテン地には難燃性繊維(または難燃性を付加した繊維)を使用したものや、後加工によって防炎性を付加したものを防炎カーテンといいます。

■ウォッシャブルカーテン

ウォッシャブルマーク  家庭用洗濯機で洗えるカーテンです。素材は伸縮性の低いポリエステルを使用し、織り方にも型崩れしないような安定性を高める工夫がなされています。

■はっ水

はっ水マーク  繊維製品の防水試験方法(JIS L 1092)に規定される、はっ水度試験(スプレー試験)に適合する、はっ水性の高いカーテンに表示されています。

■遮熱

遮熱マーク  太陽光など外からの光や熱を遮る機能です。一般的なレースカーテンと比較して、25%以上の熱量を低減することができるため、省エネ・節電の効果が認められます。

■UVカット

UVカットマーク  紫外線遮蔽率の判定基準に適合する、紫外線の透過率を低減するカーテンです。家具や床材の日焼け退色を防ぐことができます。

■ミラーカーテン

カーテンの裏側にキラキラした糸(ブライト糸)を使用することで、太陽光を反射して外からの視線を遮ることができるカーテンです。遮熱効果も期待できます。

■透過率

  機能カーテンとは少し意味合いが違いますが、レースカーテンを選ぶ一つの目安になると思うので紹介します。
透明感のある薄地のレースカーテンを吊っていると、外からの視線が気になります。透過率とは外から部屋の中がどのくらい透けて見えるのかという割合を示すものです。 この透過率にも等級がありますが、現時点では各メーカーが独自の基準で等級を決めている段階で、まだ統一基準はありません。
最近ではレースの裏側を鏡のように光らせることで視線を遮る「ミラーレース」というものも登場しました。

5.カーテンのデザイン

インテリアを計画する際、全体のデザインコンセプトをイメージし、その方向性でいろいろなものを揃えていくという方法があります。カーテン地の多くは、そうしたインテリアデザインに合わせたデザイン(色・柄など)がなされています。
以下、デザイン別に解説しますが、イメージというのは個人差がありますので、あまりとらわれることなく自由な感性で選びましょう。

■クラシック

シャープシェード 欧州風の重厚なデザインです。伝統的なフォーマルスタイルをイメージさせ、豪華さの中にも優雅な美しさがあります。色調も深紅、紫紺、濃緑などの濃厚なものが多く、格式の高さを感じさせます。
 
 

■エレガンス

 クラシックに似たイメージですが、全体的にはもう少し柔らかく軽い感覚です。色調も柔らかなペールトーンやライトトーンが好まれています。
 

■モダン

バルーンシェード 機能的、合理的をイメージさせるシンプルなデザインです。色調はブラウン系(アイボリー・ベージュ・ブラウン)やグレー系(白・グレー・黒)等が多く使われます。
 
 

■シンプル

 シンプルはモダンに大変よく似たデザインイメージです。最もシンプルなものは、柄のない無地のカーテンでしょう。

■カジュアル

 エスニック調の幾何柄など、軽快で若々しい明るい印象のデザインです。アイボリーやナチュラル系の色が基調となります。

■和風

ダブルシェード 日本風の柄や色調をもつデザインのことです。ジャパネスクともいいます。色調は自然色のグリーン系やブラウン系、グレー系などが中心です。
 
 
 

6.カーテンのスタイル

 カーテンというのは、生地だけ選べばそれで終わりというものではありません。カーテンは窓に吊って初めて商品としての価値が生まれるものです。選んだ生地を活かすも殺すもスタイル次第。吊り方、飾り方というのが非常に重要なポイントとなってくるのです。
 ここでは、数種類のカーテンスタイルを紹介しますが、これは代表的な一例にすぎません。
 メーカーごと、お店ごとに新しいスタイルがどんどん提案されています。

■2倍ヒダタイプ

 オーダーカーテンの最も一般的なスタイルです。ドレープ性が非常に高く大変豪華に仕上がります。
 2倍ヒダというのは、例えばカーテンを1メートルに仕上げる場合、2メートルの生地を使用するという意味です。カーテンの寸法に対して2倍の生地を使用するので、ドレープ性が高くなるというわけです。2倍ヒダのほか、生地を2.5倍使用する2.5倍ヒダ、3倍使用する3倍ヒダというものもあります。
 カーテンには等間隔にヒダ山というものがありますが、2倍ヒダのヒダ山は三ッ山となります。

■1.5倍ヒダタイプ

 主に既製カーテンで使われるスタイルです。
 1.5倍ヒダというのは、カーテンの寸法に対して1.5倍の生地を使用するという意味です。ヒダ山は二ッ山となります。
 カーテンの価格というのは生地の価格に大きく左右されますので、最近はオーダーカーテンでもこの1.5倍ヒダを採用し、生地の使用量を少なくすることで価格を抑えようとする動きも見られるようになりました。また、当初は価格を抑えることを目的に導入された1.5倍ヒダオーダーカーテンも、シンプル、カジュアルなど生地のデザインによっては、逆にその生地の持ち味が引き出されるという効果も認められるようになっています。

■プレーンタイプ(ヒダなし)

 プレーンタイプというのは、カーテンの寸法と同じ寸法の生地を使用するカーテンです。カーテンではおなじみのヒダ山はありません。1.5倍ヒダタイプのもっと進んだタイプのスタイルといえます。

※以下のスタイルは言葉での説明が難しいので写真を御覧ください

イメージ写真1
ハトメスタイル

イメージ写真1
ギャザースタイル

イメージ写真1
タブ

イメージ写真1
バランス

以下は、主にレースなど薄手のカーテンのスタイルです。
これらは一般的にスタイルカーテンと呼ばれています。

センタークロス
センタークロス

クロスオーバー
クロスオーバー

スカラップ
スカラップ

セパレート
セパレート

ハイギャザー
ハイギャザー

カフェカーテン
カフェカーテン

7.カーテン各部の名称

カーテン各部の名称

■バランス

 通常上飾りとも呼ばれているものです。
バランスは古いヨーロッパスタイルのカーテンの下部の重々しさに対して、上部にバランスをもたせるための上飾りとして発生したものです。 現在はあくまでも装飾として最初から計算された上で取り付けられるようになりました。

■トリム

 トリミングとも呼ばれます。これは大きく、「フレンジ」と「ブレード」の2つに分けられます。
 フレンジ・・・縄上にたれているもの
 ブレード・・・帯状、組紐状のもの

■タッセル

 カーテンを開いたときに、カーテンの下部をまとめるために使うバンドのことです。このタッセルはカーテンの装飾ポイントともなる部分で、ないがしろにはできません。

■フサカケ

 カーテンを開いたときに、タッセルをかけるばかりでなく、しまった状態でも装飾的にポイントとなる部分です。種類は豊富にあります。

■カーテンホルダー

 ストッパーとして、カーテンを開いたときにかけるようにするだけでまとめられるものです。これもデザイン、材質ともに種類はいろいろあります。カーテンが閉まっている状態でも目立つので、デザイン、材質、装飾性を良く考えて選びましょう。

■芯地

 カーテン上部の縫製に欠かせないもので、全体に最も大きな影響を与える大切な部分に使われます。厚地のカーテンには、この芯を入れ二つ折りで厚みと腰を持たせるために使われます。材質、幅サイズも豊富にあります。

■カーテンウエイト

 美しいドレープを出すために、カーテンの両サイドの取り付けるおもりのことです。

■ウエイトテープ

 カーテン・ウェイトと同じ目的で使われるものです。これは鎖状になっているもので、レースのすそ全体に使われることが多いものです。うっとりするほど美しいドレープラインを演出します。

8.その他のウィンドウトリートメント

ローマンシェード
ブラインド
ロールスクリーン
プリーツスクリーン
カーテンレール

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